《小説の書き方覚書》 注意  あくまで筆者個人の考えであり、例外も数多く存在する。  この前提の上で参考程度に見ること。 1.準備  ・最低限必要なもの   ・ソフトウェア    ・テキストエディタ(O's Editor、EmEditor)     ・金を惜しむならTerapadでも構わない。      ・O's Editorは見た目をいじれる点、EmEditorは正規表現置換で有利。     ・無駄に重く、不必要な面に気を向けてしまうためWordは執筆に向かない。      ・ただし印刷時にはWordで整形するのも必要。       ・とはいえこれもO's Editorで可能といえば可能。    ・ダイアグラムエディタ(iEdit)     ・使い方はいろいろあるが、筆者は主に人物相関図を描くのに使用。      ・主人公以外の関係性を考える際、非常に便利(後述)。   ・常時持ち歩くべき備品    ・アイデアノート     ・B5のリングノート。罫線つき。      ・持ち歩きやすく、頑丈なため(ページが剥がれ落ちない)    ・電子辞書     ・最低限百科事典は必要。     ・その他、自分の分野に関係する辞書が入っていると便利。    ・シャープペンシル、消しゴム、四色ボールペンなど  ・普段からしておくべきこと   ・読書    ・小説     ・自分が感じた面白さの理由を常に考えること(逆も然り)。     ・自分の書きたい小説に近いものこそ読み込む。      ・模倣の危惧ももっとも。だがまずはその分野の方法論を習うべし。     ・最近の小説からは現代の流行、路線が学べる。     ・前世代の傑作からは現代に至る根本が学べる。    ・新書、専門書     ・エンタメではこうした知識の部分も重要視される。     ・自分の興味はとことん追求しておくこと。     ・小説は虚偽を描くものだが、実際に基づかなければ説得力を欠く。      ・自分が生み出した世界の根拠に関係する書物は率先して読むこと。       ・例 魔法世界なら民俗学や神話学、SFなら物理学の本など     ・分厚い専門書にあるような知識はあまり読者から求められない。      ・ただし専門書の知識を踏まえた上で書かないのも必要。   ・交流    ・人を描く分野において、人を知らないのは致命傷。    ・リアルな話し言葉を描くためにも、コミュニケーションは取るべし。    ・自分の小説を見てもらえる人間は絶対に必要     ・小説は主観で生み出すものだが、客観性は必要条件。     ・ある分野を究めた人の意見は作中に関係せずとも鋭いことが多い。     ・小説は人に見せてなんぼ。見せられない小説は書いてもしょうがない。   ・情報収集    ・マスメディア     ・大多数の選択≒客観性。許容、批判はともかくまず情報に触れること。     ・芸術だけで民衆をいつまでも動かせない。必ずなんらかの技術がある。      ・人を楽しませる技術はドラマ、バラエティなど。      ・言葉以前の感動は映画から学べる。    ・新聞     ・なんらかの形で現代を反映させる必要があるなら、社会欄は必読。      ・少数派意見が読者投稿欄にあったりして、面白い。     ・四コママンガだけでもストーリーの起承転結は学べる。     ・編集後記(天声人語等)より、社説の方が論理的な文章。      ・社説は後記と違い一定期間の熟考を踏まえた文章のため。    ・音楽     ・因果関係は明確でないが、音楽や演劇に携わった人間の文章は面白い。      ・文章にリズムを与えられるためか?     ・言葉を用いずとも人の心を動かす人々にはそれなりの敬意を持ちたい。   ・出力作業    ・小説執筆     ・これが目的なので、できる限り行うと良い。     ・同時にストーリーメイキングも習得するべし。    ・日記     ・思いついた、思い浮かんだことをつらつらと。     ・基本的にその時点での考えを忘れるために書く。      ・頭だけで管理しようとすると覚えようとする努力に時間を浪費する。      ・その時点で利用価値がないと判断したものが後で役立ったりもする。     ・笑った、泣いた、怒った、嬉しかったことを適当にメモる。      ・自分の感情の原因の分析にもつながり、演出に活きる。     ・携帯電話でブログという手もあるが、紙にじかに書く自由さは捨てがたい。      ・筆者は携帯を持っていないため、実情は不明。      ・なんにせよ思ったことをすぐメモれる環境は必須。  ・最低限の文章作法(具体例は適当なネット小説を参照のこと)   ・文字はすべて全角で書く。    ・括弧や句読点、空白も含めてすべて全角。    ・横書きの英文などを挿入する場合はこの限りでない。   ・文頭にはスペースをひとつ打つ。   ・会話文の括弧(「」『』=s》等)    ・通常会話では「」、会話文の中で台詞を引用するときは『』を使う。    ・その場にいない人物の台詞を思い出すときは「」以外を使う。     ・あくまで「」はその場にいる人物の発言に使う。     ・『』=s》などは語り手が感慨深くその台詞を思い出しているとわかる。    ・この場合は文頭に空白を入れない。    ・会話文は一行(一台詞)ごとに改行する。     ・最近の小説では必ずしも守っているわけではない。      ・例 灰色のダイエットコカコーラ(佐藤友哉)   ・感嘆符(!と?)    ・この記号の後ろにはスペースをひとつ入れる。     ・文末や括弧の終端ではこの限りにあらず。   ・――や……などの記号    ・引用、省略、余韻、推測など多様な使い方がある。     ・使い方が多様なため若い作者はこれに頼り過ぎる傾向があるので注意。    ・これらの記号は通常二回分打つ。    ・長い沈黙を表すときは四回打つことも。つまり、通例偶数回打つ。    ・この変換は面倒なのでIMEやAtokの辞書登録機能を利用すると良い。    ・引用     ・文頭に――を用いて誰かの台詞を引用する。      ・このとき文頭の空白は入れることが多い。      ・引用するほどの台詞なので、語り手にとって思い入れがあると分かる。       ・よって読者に特別印象付ける効果がある。     ・引用文の前後に――を入れ、機械的な引用としても使う。      ・普通の括弧と同じ用法。ただし小説らしく、体裁がよく見える。    ・省略     ・台詞の後半を濁す時、言いよどむ時に使う。      ・濁すことで逆に読者の想像を要請し、印象付ける。      ・理由は「言うまでもない」「言いたくない」「言えない」など。    ・余韻     ・省略の効果の一。     ・特別に印象付け、読者に容易に感慨などを残すことが可能。      ・多用すると効果が薄れるので注意。    ・推測     ・回想とも。台詞を一旦中断するときに使用。      ・普通の中断と違い、中断中発言者が何かを考え(思い出し)ている。       ・ただしこの中断は一瞬のもの。長い沈黙は通例通り適切な説明を要する。   ・上記の規則をほとんど無視した上で効果を出している作家もいる。    ・例 舞城王太郎の作品全般     ・「好き好き大好き超愛してる。」では以下のように規則を無視している。      ・行頭の空白が二文字分      ・台詞を改行したりしなかったりする      ・句点の後に空白を入れ、感嘆符の後には入れていない     ・無論これらは表現効果を計算した上での結果と追記しておく。    ・初心者がいきなり破戒を始めてもただの劣化品になってしまう。     ・よってある程度の文章作法を身に付けた上で破戒を試みるのもよい。   ・すべての記号は読者に与える感情の強調効果となる。    ・句点と読点の印象の違い、仮名の違いにも気を配ると良い。     ・句点で区切ると微細の強調効果。     ・ひらがなは子供らしさ、カタカナは非人間的な印象。     ・漢字は文章の面から威圧を与え、堅い印象を与える。 2.着想、アイデア作り  ・前提   ・実のところこの段階で登場人物の設定はさほど重要ではない。    ・例 人物の能力に基づき話を作ると人物に有利な展開となり、面白味を欠く。    ・まず物語の流れに留意すべき。   ・ここで必要な発想は「もし〜だったら面白い」という内容。    ・よって自分の面白さの基準を磨く必要が出てくる(前述)。   ・結局アイデアとは異質な組み合わせのことである。    ・よってアイデア単体での質を計るなら「違和感」に集約されるだろう。     ・この、誕生時点で奇形なアイデアを育てるのは作者の説得力である。      ・つまり、小説家に必要な能力のひとつは言い訳の力である。  ・掘り下げる   ・自分が興味を持った分野を掘り下げ、さらにその膨大な情報を一言に凝縮する。    ・つまり興味分野の中でも特に興味を持った一事象を特定する行為。   ・そこに具体的な人物、場面を与えて情況を実現してみる。    ・この時与える具体事象に基準である凝縮結果との違和感を出す。  ・広げる   ・具体的なお題を与えられたなら、まずそれを辞書で引いてみる。   ・類義語、関連語、同音異義語などを次々と連想していく。   ・さらにそれらから関連する言葉も芋づる式に連想していく。   ・終わったら、今度は逆にお題に反する言葉、対義語を考えてみる。   ・最後に類義語と対義語を無理やり組み合わせ、「異質なアイデア」とする。    ・参考 マインドマップ(iEditで再現可能だが、ノートにやるのが適当)     ・マインドマップの細かい方法(色分け、矢印の種類等)は実際、不要。  ・アイデアの種類   ・場面    ・「誰が何をしている、どんな状況にある」というアイデア。    ・長所:もっともストーリーを生み出しやすいアイデア。    ・短所:気を付けないと登場人物が類型化し、さらには物語の奴隷となる。     ・作者が展開的に動いてほしいと思った方向にしか動かない人物となる。     ・結果、読者が共感できず、果ては読者に見抜かれる程度の人物となる。   ・人物    ・「こんな性格のキャラクター」というアイデア。    ・長所:作者が描きやすく、人物自身も自由に動くため読者にも好まれる。    ・短所:人物の動きに振り回されて物語が構築しづらい。     ・物語の流れは人物の動きを拘束する枠組み。強すぎても弱すぎても駄目。   ・世界    ・「こんな場所の話は面白そうだ」というアイデア。    ・具体的な物語ではない。     ・よって筆者はこの発想の有効性には懐疑的である。   ・タイトル    ・タイトルから思いつくこともある。    ・ただし結局はタイトルから上記のいずれかを連想するので省略。   ・もっともこれは単に考える順番の問題。    ・構想完了時点では場面、人物、世界がすべて完成する必要がある。 3.構想、プロット  ・プロット   ・「執筆に必要な情報のまとめ」をプロットと呼ぶ。    ・多くの場合「構成が作者自身に把握できるもの」を指す。   ・作者によって「執筆に必要な情報」も変わるため、プロットも千差万別。    ・よって「正しいプロットの書き方」など存在しない。   ・いかなる形にせよプロットは手元に実物として保存すべきである。    ・パソコン上で打ち込んだものでも印刷すること。     ・当然持ち歩き、できれば適宜赤訂正を入れるぐらいの気概は必要。  ・プロットの種類   ・あらすじ型    ・その場面のあらすじをプロットとする。筆者はこのタイプ。    ・登場人物のリストを別紙に印刷しておき、あらすじを書く。    ・五、六十枚以内の作品ならあらすじはひとつで足りる。    ・逆に三、四百枚を超すなら一話ごとにあらすじを書くべき。    ・最低限、時と場所は文中に明記しておくこと。   ・脚本型    ・場面を分解したものをプロットとする。ラ研などで紹介されている形式。    ・その場面内での人物や心情などを表にまとめている。    ・場面分割を重視し、主人公がどこで何をして誰と関わるかを克明に記す。    ・シナリオライターに向く手法であり、映画的方法だと考えられる。  ・構成   ・物語にはスタートとゴールが存在し、その経路も存在する。    ・スタート:主人公の最初に置かれた状況    ・ゴール:主人公が到達した最後の状況     ・登場人物は生身の人間であり、物語が終わっても死なない限り人生は続く。      ・だから「主人公の人生のハイライトを描いてこそ小説」と唱える人もいる。       ・エンタメ小説の大半がこのタイプ。   ・アイデア段階ではスタートしか存在しないので、まずゴールを設定し、間を詰める。    ・ゴールはジャンルから生まれやすい。     ・例えばホラーなら死亡か生還、恋愛なら成就か失恋というゴールが定まる。     ・アイデアとジャンルを決めた上でラストを決めると良い。    ・ハッピーエンドとバッドエンド     ・ハッピーエンドは「主人公が前向きに納得する終わり方」     ・バッドエンドは「主人公が後ろ向きに納得する終わり方」      ・つまり恋人が死んだとしても主人公が前向きに生きようとするなら前者。      ・要は主人公の最終場面の捉え方に過ぎないということ。    ・参考:主なジャンル     ・恋愛、ホラー、SF、ミステリー、感動もの等     ・読者の感じ方による分類のため「純文学」はこの場合のジャンルではない。     ・ちなみに筆者はこの機械的なジャンル分類には懐疑的である。      ・優れた物語は複数のジャンルを取り込むスケールがあると考えている。   ・間の詰め方    ・ゴールの位置を予測して方向性も定まったら実際にゴールへ到達してみる。    ・ストーリー公式「ある日・ところが・実は・結局」     ・物語を五分割してそれぞれについて大まかに決める指針としての公式。      1.(主人公の性格、状況の説明)      2.ある日、(主人公に起きた事件と彼の対応)      3.ところが、(主人公の意に反した結果)      4.実は、(2,3の理由説明)      5.結局、(4を把握した上での主人公の反応)     ・括弧の中身を埋めれば自動的にオチまで物語ができる仕組み。     ・起承転結の考え方を応用した公式なので、短編作りには向いている。      ・つまり長編をこれだけで構成するのは難しい。     ・未決定事項も仮定してとりあえず括弧を埋める。      ・その後その行動に必然性のある人物を要求することで穴を埋める。     ・一度公式を反映させて、今ひとつ面白くなかった場合      ・2,3を削って圧縮してみる(元4を2や1にまで持ってくる)。       ・この上で再度2,3,4,5を埋めなおすと意外なストーリーができる。      ・登場人物をあえてストーリーにそぐわないものにしてみる。       ・この段階での違和感追求は作品瓦解の危険を持つが、試行の価値はある。      ・2,3をもう一、二回繰り返す。       ・次から次へと主人公へ危機的状況をぶつける。       ・パニックムービー的な長編もこのパターンで生産されることが多い。        ・最初の日常を演出することで落差を演出することもある。      ・別のアイデアを組み込む。      ・アイデア自体を捨てる。       ・最終手段。       ・とはいえ何らかの形で残せば別のアイデアに組み込める可能性も出る。     ・公式がうまく反映できたら      ・必要な登場人物、作品世界を作る。      ・ある程度人物と世界がそろったらあらすじを書くこと。   ・人物作り    ・登場人物は関係性によって生まれるものである。     ・「このキャラ使いたい」だけで無闇に用意しても繋がらない。     ・主人公と関係しない、脇役同士の関係性こそ物語に深みを持たせる。    ・性格の想起方法     ・まずなるべく簡単に性格要素をリストアップする。      ・「暗い」「明るい」など一言でまとまる性格は安易で読者を惹きつけない。     ・その後それらの性格が生まれた原因を考察し、付加する。      ・例えば「乱暴」なら幼少期の家庭環境、友達関係はどうだったのか。       ・必ずしも悪い家庭が悪い人間を生む訳でもなく、善悪の基準は人それぞれ。        ・とはいえ作者の価値観を打ち出していくのも小説。     ・その性格が現れた行動などを具体例として挙げておくとよい。      ・実際の執筆中において性格を説明する際にも役立つ。       ・一言「彼は頭がいい」と言えば済む問題ではない。       ・どのように頭がいいのか具体例を提示して読者を納得させる必要がある。        ・小説の目的の一は「言葉に出来ない事象の言語化」でもある。    ・すべての登場人物には何らかの欠点、弱みを刻印すること。     ・完全な人間など存在しない。存在するなら、完全だと思い込むこと自体不完全。     ・同様に、絶対的な善悪も存在しない。      ・悪役も自分なりの正義を持ち、それに基づいて行動している。    ・主人公     ・すべての登場人物の基準となるので、最初に決めること。     ・作者が何らかの好感を持てる人物にすると執筆しやすい。      ・読者も然り。主人公の考え方は小説自体の評価に繋がる。    ・他の登場人物     ・個別の性格でなく主人公との関係性をまず考える。      ・所詮その性格も語り手にそう見えているに過ぎない。     ・ここで前述のダイアグラムエディタ(iEdit)を使う。      ・まず主人公を中心とした放射線状に登場人物を並べる。      ・その後、他の登場人物同士の主人公を介さない関係性を考える。       ・主人公の与り知らぬ関係性こそ物語に深みを与える。      ・その上で複雑化した人物関係図を自動修正(iEditの機能)する。      ・この図は登場人物リストと共に印刷しておくと便利。     ・名前を与えたすべての登場人物には何らかの役割を持たせること。   ・世界設定作り    ・率先して決める必要はないが、作品に深みを与える。     ・ただし「深みを与える」のであって主軸ではない。    ・結局作品世界とは「作者が現代社会のどの面を切り取ったか」である。     ・異世界SFでも人間を描くからには人間の存在する現代社会を反映する。     ・物語や登場人物に有利なだけの世界は底の浅さに通じる。     ・物語を作る目的の一は比喩であり、比喩を使うからには社会主張が含まれる。      ・ただし政治的になりすぎると説教くさい小説になり、つまらない。       ・あくまで追求すべきは作品としての質。あくまで主張の質は一要素。    ・作品世界を描くためにはその世界での一般人を一人登場させるべき。     ・その世界での一般人はその世界をそのものを表す。     ・主人公はその一般人に対することで象徴的に世界と関わる。     ・作品世界を強調するために自作の固有名詞を乱用する必要はどこにもない。      ・勘違いしがちだがこれは作品世界の強調ではなく、強要である。    ・ストーリーに要請されての世界であるかに留意。     ・敢えて中世イタリアで起こす必要のない事件なら現代日本で。      ・読者にとって一番リアリティを呼び起こすのは現代の日本である。       ・リアリティ=説得力であり、小説の最重要不可欠部品である。        ・説得力のない小説は読者の心を動かす力も持たない。   ・作品構成、登場人物、作品世界が出揃ったら必ずあらすじを書く。    ・作品構成を公式から生んだなら、五行程度でラストまで書かれているはず。    ・公式の五行に細かい情報を付け加える。     ・5W1Hを追加する。     ・誰が読んでも物語の概要がつかめる文章を書く。      ・とはいえこの時点で文学的技巧を駆使する必要は全然ない。       ・だが物書きたるもの、いついかなる時の文章も最低水準を超えるべき。      ・長編の場合このあらすじの部分を切り取り、それを元に一話一話書くため。       ・一話ごとのあらすじも必要だが、全体のあらすじも不可欠。        ・全体から細部に目を向けた方が矛盾は発生しにくい。    ・一度目のあらすじが書き終わったら     ・あらすじに要求された設定を登場人物、作品世界に反映させる。     ・設定の更新が済んだらもう一度あらすじをリライトする。      ・これは可能な限り行うが、筆者はリライト一回で執筆に入ることが多い。       ・そもそも設定作りが主になれば本末転倒。        ・物書きの目的は文章を書くことである。 4.執筆  ・執筆準備   ・まず自分が集中できる形を見つけること。    ・部屋にこもる、逆に喫茶店に出る、カーテンやドアを閉めるなど十人十色。    ・ちなみに筆者の場合音楽を大音量で流すと集中する。   ・執筆にはテキストエディタを使うこと。    ・詳細は上記「1.準備」を参照のこと    ・基本的に日本語の文章なので、縦書き設定で書くとよい。     ・ただしネット上で公開する場合は横書きで書いた方が体裁を整えやすい。     ・公開するメディアにあわせて執筆画面を変えるぐらいの柔軟さが必要。  ・執筆   ・一人称の書き方    ・初心者にお勧め。    ・この場合必要とされるのは役者のごとき演技力。     ・演技とは「ある状況ににおかれた人物の心理を限界まで模写すること」である。     ・主人公を自身に憑依させる霊能力者ぐらいの気持ちで。      ・主人公の気持ちを想像、ではまだ生ぬるい。     ・その人物の思考パターンを理解すること。      ・口調ではなくその人物の空気を模写すること。       ・このため実社会で口調や思考のサンプルを数多く収集する必要がある。        ・詳細は「1.準備」を参照   ・三人称の書き方    ・慣れてきたら積極的に挑戦すべし。    ・この場合必要な能力はカメラマン、映画監督としての視点。     ・象徴的に何を写せばその空間全体を表現できるかを考える。     ・三人称は映画のカメラ回しのように書くのが基本。      ・ただし小説の醍醐味として「映像化できない情景を描ける」という点がある。       ・同じ表現で想像するものが読者によって多様なこともその一。    ・小説至難の本にて訓練法として周辺の描写があるが、実際の効果は薄い。     ・文章技術は物語あってのもので、ただの情景を描写しても意味がないため。 end of file.